口腔ケア

歯周病の細菌が全身におよぼす影響

 口腔は、食物を摂取するだけでなく発音や呼吸という大切な機能を担っており、口腔保健や咀嚼機能が、 肺炎・糖尿病などの内科疾患や老化・認知症など、からだ全体の健康と密接に関連していることが近年 明らかになっています。
 当科では、主に入院患者さんを対象に、口腔内保清の評価・アドバイスや専門的ケアを提供することで全身疾患の予防、身体機能の回復をはかっています。
 また横浜市立大学附属病院は地域がん診療連携拠点病院に指定されており、がん治療を受けている患者さんも多くいらっしゃいます。このような患者さんの中で口腔内に出現する抗がん剤による合併症の軽減をはかるための治療を行っています

口腔は微生物が繁殖しやすい

 口腔は、温度、湿度、栄養などあらゆる点において、微生物が繁殖しやすい条件が揃っていることから、呼吸器感染症をはじめ、全身の疾患の発症と密接に関連しています。単に食物残渣を除去する口腔保清や習慣的に行われている歯磨きの援助に留まらず、微生物による感染予防を念頭において患者様の診療に当たっています。

肺炎発症率への口腔ケアによる影響

口腔機能の向上

 口腔機能を増進・賦活化を目的にした口腔機能の向上にも留意しています。口腔機能を向上させる口腔ケアは生活の質を維持させるだけでなく、種々の疾患の予防や介護予防にとっても有効です。
 おいしく食べることは大きな生きがいのひとつであり、食べるためには口腔機能、摂食・嚥下機能が十分に働くことが重要です。口腔ケアが十分に行われることにより、口腔内の状態の改善だけでなく、栄養状態の改善により褥瘡が良くなる、表情が豊かになるなど、身体的にも精神的にも回復が見られることがあります。