インプラント

顎骨欠損に対する骨造成治療の研究・開発

 当科では顔面の外傷や、口腔内の腫瘍切除に伴って広範囲に顎骨が欠損してしまった患者さんに対する先進医療である『インプラント義歯』を実施しています。これに使用するインプラントは通常のインプラントと何ら変わるものではありませんが、インプラント手術を行うためには、多くの症例で骨造成による顎骨欠損部の再建治療が必要となります。チタンメッシュと海綿骨骨髄移植、骨延長、ブロック骨の移植などによって顎骨造成を行いますが、術前診断による的確な骨移植法や、顎骨実体モデルの応用から自家骨採取の部位・手技方法などについて検討を重ねてより安全でより確実な顎骨造成治療方法の開発を目指しています。

セラミック性人工骨補填材の応用

 インプラント治療のために顎骨量を増やす手術は一般臨床においてよく行われる手術ですが、自家骨移植が最も確実であるのが現状です。患者負担を軽減するために多くの人工骨が臨床応用されていますが、感染症などの問題がなく、安価であり、信頼性の高い人工の骨補填材料は現在もいまだ発展途上段階です。当科ではセラミック性人工骨補填材であるβTCPを用いたインプラントを前提とした顎骨造成治療の開発を行っています。βTCPは優れた骨伝導能を有し、また自家骨との併用によって骨補填材料としての効果がより強く発揮されるので、当科ではβTCPと自家骨による顎骨造成手術を行い、βTCPのより効果的な使用方法について研究しています。

チタンファイバーウェブの歯科インプラント・顎骨補填材料に関する研究

 直径50ミクロンのチタンファイバーからなる不織布、チタンファイバーウェブは金属としての剛性を保ちながら、約87%の多孔質体としての性質も併せ持ち、非吸収性の組織再建・再生用補填材料として今後の臨床応用が期待されています。当科ではチタンファイバーウェブを顎骨再建材料や新規インプラント体として応用するための実験を行っていますが、チタンメッシュウェブは骨芽細胞との親和性が良好で、内部への骨伝導性も非常に良いので、まずは骨補填材料としての応用について検討しています。

ハイドロキシアパタイトコーティングによるβTCPの物性変化の検討

 βTCPは吸収性の骨補填材料として期待され、当科でも臨床応用していますが、吸収が早いなどの欠点があります。この物性を改良するために、当科では分子プレカーサー法という方法でβTCPをハイドロキシアパタイトコーティングし、溶解性の変化や骨伝導性の変化を検討しています。