30代女性(東京在住)【Plunging ranula(顎下型ガマ腫)】

右顎下の腫れ(唾液腺から唾液の漏れ~ガマ腫~)の治療体験記
~横浜市大口腔外科の岩井先生に診てもらえるまで~

◇ ~2013年7月~ 小さな顎下の腫れを繰り返す

 2012年の7月になった頃だったと思うのですが、体の怠さや風邪を繰り返して3年振りくらいに口唇ヘルペスにもなったので、家から2分のかかりつけの内科を受診しました。『最近、右顎下が小さく腫れたり引いたりを繰り返しています』と言うと、2~3度抗生物質をもらいました。皮膚科と内科があるクリニックで、皮膚科の女性の先生が私より心配してくださり、『口腔外科に行った方がよい』とおっしゃいました。私はいつものように抗生物質をくれたらいいのに面倒くさいなと思いました。私は普通の歯医者さんにお世話になったのは20才の時に親知らずを抜いた時だけで、普通の歯医者さんと口腔外科の違いがよくわかりませんでした。『口腔外科ってどこにあるかわかりません』と伝えたところとりあえず『隣の歯医者さんに行ってください』と言われ、隣の歯医者さんでレントゲンまで撮ってもらいましたが、虫歯や歯肉にも異常がないと言われ、とりあえず抗生物質を出してもらったところ腫れは引きました。



◇ ~2013年8月~ 右顎下が大きく腫れていることに気づく

 2013年8月17日(土)までは、少し前に右顎下の小さな腫れを繰り返したことすらすっかり忘れてしまっていました。その週は連続でお酒を飲む日が続き、本当に疲れていました。家でぼーっとテレビを見ながら、ふいに見た鏡に映る自分の顔があまりにも二重顎が酷くて!!私はいつの間にこんなに太ったのだろうか?もしくは、たるみが突然出てきたのだろうか?と恐怖でいっぱいでした。今までに経験のないほどの腫れでしたが、痛みは全くありませんでした。小学4~6年まで夏休みに高熱と共に右顎下のリンパ腺が腫れたことを思い出しました。しかし、今回は熱もないので、翌日に日曜も診療している別の内科に行きました。その内科ではやはり、『リンパ腺に何か炎症が起きており、免疫が落ちているのではないか』と言われました。確かに凄く凄く疲れていたので、そうだと思い抗生物質をもらいました。抗生物質を2日飲んでも全く腫れは引かず不安になり、同じ内科に2日後に再受診しました。日曜とは違う若い女性の先生が診てくださり、すぐに血液検査をしてくださったところ、炎症反応もウィルス感染もないと言われ、『じゃ、なんですか?』と聞いたところ、まさかの『わからないです』と言われてしまいました(笑)。『抗生物質も効かなければ腫れたままですよね?どうしたらいいですか?』と、先生にせまったところ、『大きな病院の口腔外科、もしくは耳鼻咽喉科に行って調べてもらってください』と言われました。『先生は、何の可能性があると思いますか?』と尋ねたところ、『腫れが柔らかいので、唾石症か、でも痛みがないので、何かの腫瘍かもしれない』と言われました。
自宅に帰ってインターネットで家からアクセスのいい病院を適当に調べて、翌々日に都内の総合病院の口腔外科でCT検査をしたところ、『唾液腺が恐らく何らかの外傷で破れて、唾液が溜まっているんだよ。がんじゃなくてよかったね』と言われました。『じゃ、すぐ治りますね♪』と、口腔外科の先生に伝えたところ、『すぐには治らない。手術しかない。2週間弱入院が必要。口の中からはできないと思う。MRIを撮ってみないと分からないけど、今日すぐに撮れないよ!』と言われたころには、涙がボロボロ止まりませんでした。



◇ ~心が折れた日々~

 私は、2度目に内科を受診した後すぐに、ネットで色々調べました。”右顎下の腫れ”で検索すると、男性と女性の右顎下というか首を切開した写真付きのブログに”痛い”、”怖い”、”傷が残る”と書いてあって恐怖でたまらなくなりました。キャリアチェンジしたく、6月からwebクリエイターの学校に通っており、8/16からが私が一番受けたかったコーディングの授業でしたのに、腫れが見つかったのが8/17で、もう全く授業に集中できませんでした。この頃から、急に白髪が出てきました(号泣)。そして、2週間も学校を休んだら、『もう無理(退校)ですよ』と学校の先生に言われてしまい、絶望的でした。追い打ちをかけるかのように医療ドラマが多い時期で、どんどん気が滅入っていきました。諦めきれず、保険の効かない漢方薬局2軒と漢方専門医の元を訪ねたりと、慌ただしいのが好きではない家でのんびりしたい派の私には本当にきつい夏でした。都内の口腔外科の先生は、優しい先生でMRIを撮る前に受診したときも色々丁寧に説明してくださり、また、私が泣いてしまったので逆に申し訳なくも思いましたが、どうしてもその先生の治療計画では私には絶望しか見えず、唾液が溜まったくらいで2週間も入院して首に5センチくらいの傷が残るかもしれないなんて受け入れられませんでした。



◇ 2013年9月3日 ~横浜市大の岩井先生を教えていただく~

ガマ腫について更にネットで検索していたところ、兵庫の歯科の先生が電話相談をされていることを知り、朝一で電話をかけてみると『関東であれば横浜市立大学付属病院口腔外科の岩井先生なら、通常外から切らなければできない手術も口の中からできるかもしれない』と教えていただき、すぐに横浜市大病院に電話をかけたところ岩井先生につないでいただけました。とりあえず簡単に岩井先生に電話で説明し、もう1度詳しく岩井先生と電話でお話しさせていただいたところ、絶望ではなく希望を与えてくれる先生だと思い、怖かった手術も岩井先生と話したら、急に怖くなくなりました。

~横浜市大病院口腔外科の岩井先生にお願いしたいと思ったポイント~
○ 外に傷が残ることを嫌がるのを共感してくださる。
○ 経験と自信があることをハッキリおっしゃる。
○ 入院期間が2泊3日。
○ 電話で手術の大まかな日程の話までしてくださったこと。
○ メールでも対応してくださる。



◇ 2013年9月4日 ~横浜市大病院の岩井先生に初めて診てもらう~

午前中都内の病院でMRI画像を先生と見ながら説明を聞くと、『ガマ腫ではなく、リンパ管腫かもしれないけれど、内容物を吸引して病理に送って1~2週間待たないと、ガマ腫かリンパ管腫か分からず、リンパ管腫ならば口の中からの手術はできない』と言われ、また、大号泣してしまい、そちらの病院の先生に横浜市大の岩井先生ならば通常外からしかできない手術も口の中からできるかもしれないとおっしゃったお話をしたところ、丁度、岩井先生をご存じの別の先生がいらして、『岩井先生は無理をする先生ではないので、できないならできないとハッキリ言ってくれるでしょうし、岩井先生ができると言えばできるから、横浜市大でしか受けられない治療があると思うので行ってみたらいかがですか?』と言ってくださり、紹介状も書いていただき、『もし横浜でもここと同じ治療法ならばまた、戻ってきてください』とおっしゃってくださいました。



◇ ~同じ日の午後3:30頃、シーサイドラインの市大医学部駅に到着~

改札を出ると、そのまま病院直結の通路を通ってすぐに病院に着きました。
◆岩井先生の第一印象は貫録があり、てきぱきされていました。
1. 尿、血液、心電図、胸のレントゲンの検査
2. 持参したMRIとCT画像を岩井先生に見て頂く
3. 画像ではリンパ管腫かガマ腫か判断できないので、腫れている右顎下の内容液を注射器で吸引⇒内溶液は黄色の粘液性であるからほぼガマ腫で間違いないでしょうとのことでした。普通は舌下腺からできるけれど、すごくまれに顎下腺からできることがありますと言われました(そういった患者さんでも口の中からだけで粘液嚢胞と顎下腺を摘出したことがあるとのこと)。
4. 口の中からの手術をお願いする⇒難しい手術ですが、岩井先生に引き受けていただく。
5. 手術日程を決める。
6. 初診おしまい。検査を入れてじっくりお話して、2時間半くらいでした。雑談も交えながら、じっくり手術⇒完治までのお話(舌に麻痺が残る可能性も含め)でした。



◇ 2013年9月~横浜市大病院の岩井先生に手術していただくために入院~

9/19(木)の午前10:00 入院。
麻酔科の先生の説明を受ける⇒岩井先生からの説明を受ける。
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9/20(金)午前8:30 手術
8:25に看護師さんと岩井先生と一緒に歩いて手術室に向かう。
(手術2時間くらい⇒手術直後から喋れる)
『ガマ腫は舌下腺から出ていて、その下の筋肉の隙間から顎下へ飛び出ていたので、ガマ腫を引っ張りだしながら舌下腺とガマ腫を完全に摘出しました』と岩井先生から説明。
お昼ごろ⇒手術が終わり病室に戻って点滴をしながら、寝ている。
夕方⇒歩いて、レントゲン室に行く。
夜⇒何度も、トイレに行ける。
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9/21(土)手術翌日
『午前中で退院して大丈夫ですよ』と岩井先生に言われましたが,私は心配症なのでもう1泊する。
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9/22(日)午後 祝退院
元気に退院。この日からは柔らかいものを食べる以外は大体普通の生活。腫れもちょっとだけ。



◇ ~1週間後抜糸~

 腫れ完全に引く。抜糸。完治。



◇ ~手術が終わってから~

多少の痛みはありましたが、痛み止めを飲めば大丈夫でした。治りはとても早く、皮膚の傷は全くなし。舌の麻痺(しびれ)も全くありませんでした。話にくさも10日ほどで解消されました。9/24(火)からは学校にも復帰でき、希望通りのキャリアチェンジで再就職も10/10に決まりました。岩井先生に出会えて治療してもらえて、希望と安心をいただけて本当によかったです。お電話で最初に話した段階から感じたのは、岩井先生はとても展開が早い先生です。それでいて、雑では全くなく的確で明るい先生でしたので、話の流れで何度も笑うことはありましたが、涙が出る場面は一度もありませんでした。岩井先生は絶望を希望に変えてくれた先生で、神様かと思いました。本当に本当に岩井先生を見つけることができて、治療してもらえて、元の生活に早く戻れて本当に本当によかったと感謝しています。本当にありがとうございました。