40代女性(札幌在住)

唾石の治療体験記 (2013年3月~7月)

○唾石がみつかる
 2013年3月中旬、左側の顎のあたりが食事のたびに痛み、腫れるのでリンパ腺が腫れていると思い、近所の内科へ受診したところ、リンパ腺ではなく唾石ではないかとのことで、耳鼻科へ行くように言われました。この時、唾石というものを初めて知りました。

○耳鼻科へ受診
 早速、かかりつけの耳鼻科へ受診しました。触診の結果、唾石に違いないと診断されるも、その耳鼻科では検査の設備がないので、近くの総合病院の耳鼻科を紹介されました。手術で1週間ほどの入院になりますよと言われ、唾石について何も知らなかったので、総合病院に行く前に、唾石の治療について、少しインターネットで調べてから行きました。
数日後、総合病院を受診。超音波検査と診察の結果、0.9cmほどの唾石が確認されました。唾石が大きいので、手術により顎下腺を摘出しなければならないとの診断を受けました。入院期間は1週間と言われ、二人の子供は小さいので、1週間も家を留守にできないので、とても困りました。さらに手術の際、首を6cm程度切開すると言われ、顔周りなので傷痕がとても心配になり、顔面神経麻痺などのリスクも気になり聞いてみましたが、完全にリスクはないとは言えないが、ここで今まで手術した中では、大丈夫でしたよという程度の回答でした。
不安になりながら先生に、「体のほかの臓器にできる石のように、散らすとかできないのでしょうか?」と聞いたところ、「内視鏡で摘出することもできるけど、札幌の病院では無理だね、それに石が大きいから内視鏡で摘出するのは無理だと思うよ」とのことでした。顎下腺は摘出しても生活に支障はなく、触診の感じではこの唾液腺は固いのでもう機能していないのではないかとのことでした。
次回CT検査の予約をして帰りましたが、顎下腺摘出と首の切開ということがショックで、「内視鏡」という言葉が気になり、何かよい方法があるのかもしれないと、自宅に帰ってから、「唾石、内視鏡」というキーワードでインターネットで検索しました。横浜市立大学附属病院の口腔外科のホームページで、内視鏡支援下での唾石摘出手術を多数おこなっていることと、紹介状がなくても受診できることを知りました。

○横浜市立大学附属病院 口腔外科 岩井先生へ問い合わせる
 ホームページの中で、顎下腺の摘出手術の場合でも、内視鏡支援下では、首の切開が1.5cm~2cm程度で済むということ、内視鏡支援下により顔面神経麻痺などのリスクがないという、体に負担の少ない治療、低侵襲な治療というのを初めて知りました。また入院期間が2泊3日で済むということで、子供がいてあまり家をあけられないので、札幌から横浜は遠方だけれど、入院期間が短い方が良かったので、こちらに問い合わせてみることにしました。
 まず口腔外科にお電話し、すぐに直接岩井先生とお話しすることができました。岩井先生は数多くの唾石の治療をしてきた経験豊富な先生で、私のように、遠方からホームページを見て問い合わせをする患者さんが多くいらっしゃるようでした。まずお電話で、私の唾石の大きさや経緯を説明し、唾石摘出や、顎下腺摘出の手術について詳しく説明して頂きました。不安に思っていた顔面神経麻痺についても丁寧に説明してくださり安心しました。唾石が0.9cmと大きいので、顎下腺を摘出しなければならないかもしれないが、内視鏡支援下の治療で首の切開が小さくて済むこと、顔面神経麻痺などのリスクがまずないとの説明を聞き、横浜まで手術に行くことにすぐ決めました。手術は、子供を実家に預けるので、学校が夏休みに入ってからの7月と決め、その1か月前の6月に一度検査に行くことにしました。

○検査
 手術の一か月前に検査をしました。検査は数時間なので、午後いちの診察にするので、上京は日帰りでも大丈夫ですよと言ってくださいましたが、飛行機が心配だったので前泊し、朝一番に受診をしました。検査と診察で2時間程度でした。
 まず岩井先生の診察があり、唾石摘出手術について詳しい説明の後、触診がありました。触診の結果、唾石は顎下腺の上方、舌の方にあるので、内視鏡を使わず、口腔内の切開で直接唾石を摘出できるだろうという診断を頂きました。つまり、顎下腺を摘出しなくてよい、また首を切開しなくてよいとのことでした。顔面神経麻痺のリスクもないのでとても嬉しい結果でした。それを確認するため、レントゲン、CT検査などを受け、正確な唾石の大きさや位置を調べました。検査の結果、やはり唾石は口腔内の切開により摘出可能で、唾液腺もまだ機能するだろうということでした。手術方針は、唾石を口腔内から摘出し、新しい唾液の出口を作り、今ある唾液腺をそのまま機能させるということになりました。

○手術
 検査から1か月後、7月末に手術をしました。手術前日の朝、飛行機で上京し、午後入院。手術前日は、岩井先生や麻酔医の診察などがありました。翌日は、お昼頃手術があり、手術時間は16分。全身麻酔での手術で、手術後は痛みよりも、麻酔による眠さと吐き気がありましたが、翌日朝にはかなりすっきりし、翌日朝から常食でした。手術後翌日午前中に退院し、一人で飛行機に乗り北海道に帰りました。
 手術前に何度も丁寧に手術について説明を受けて理解していたので不安はありませんでした。また入院生活は、看護師の皆さんの対応もよく、とても行き届いていました。

○手術後の経過
 現在手術から一週間経ち、5日分の抗生剤を飲み終えましたが、顎の腫れや痛みはほとんどなく、普通の生活をしています。

○最後に
 唾石ができて、初めは他の病院で、顎下腺摘出手術以外に選択肢がないと診断されたのですが、横浜市立大学附属病院の岩井先生のもとを受診し、結果的に唾石を口腔内から摘出する形で手術を終えることができました。顎下腺も摘出せず(たぶん、この顎下腺はまた機能すると思います)、首も切開せずに済んで、こちらに受診して本当によかったと思っています。3月に唾石が見つかってから7月に手術するまで期間があり、その間たまたま顎関節症になるなど、不安なことがあったのですが、メールで岩井先生に問い合わせさせていただき、すぐに丁寧な回答をいただき、自宅から遠方の病院でしたが問題はありませんでした。
 横浜市立大学附属のホームページでは内視鏡支援下の低侵襲な唾石摘出手術を紹介していますが、必ずしもすべて内視鏡を使うのではなく、その患者さんの唾石の位置と大きさによって一番体に負担の少ない、かつ顎下腺もできれば生かせる治療、低侵襲な治療を提案してくれるところが素晴らしいと思いました。